A Taste of Music Vol.162016 09

by Synthax Japan
image Contents

◎Featured Artist
 
Jah Wobble

◎Recommended Albums
 
Jah Wobble & The Invaders of The Heart『Everything is No Thing』
Joan Baez『75th Birthday Celebration』

◎Coming Soon
 
「Peter Barakan’s LIVE MAGIC!」

構成◎山本 昇

Introduction

 前回に引き続き、我が家からお送りするA Taste of Music Vol.16です。今回は、リヴィング・ルームに最新の“ミュージック・サーヴァー”を持ち込んで音楽を聴きながら進めていきます。まずはいつものように、僕が最近観た“いいライヴ”のお話から始めましょう。

 一つ目は8月にジョーン・オズボーンがコットン・クラブで行った来日公演です。20年ほど前にシンガー・ソングライターとしてデビューした彼女ですが、最近ではソウルやブルーズの名曲をアルバムでカヴァーするなど、他人の曲を解釈するのが上手な歌手というイメージがだんだん出てくるようになりました。思えば、デビューして間もない頃に、ジェリー・ガルシアが亡くなって活動を中止していたグレイトフル・デッドが、“ジ・アザー・ワンズ”という名義でしばらく続けていましたが、ジョーン・オズボーンも一時期、ヴォーカリストとしてライヴ活動に参加していました。

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コットン・クラブでヒット曲「One of Us」などを歌うジョーン・オズボーン [写真提供/COTTON CLUB 撮影/米田泰久]

 コットン・クラブでの公演に話を戻すと、今回はアクースティック・デュオということで、キース・コットンというミュージシャンとの二人だけのライヴでした。キーボードもギターも演奏するキース・コットンは、今回はほとんどキーボードを弾きながら、いろんなスタイルで彼女の歌を上手に伴奏していました。二人だけですから、アルバムに比べれば音は地味だったかもしれません。でも、僕はとても満足して聴くことができました。とにかく彼女の歌は上手いですからね。ヒット曲「One of Us」をはじめ自身の曲と、確かボブ・ディランなどのカヴァー曲も歌っていましたね。かつてのニューヨークで一時期、小さめのライヴ・ハウスでソングライターが弾き語りのスタイルでライヴをやるのが流行っていたことがありましたが、そんな雰囲気を少し思い出しながら観ていました。ジョーン・オズボーンは、最近は特にヒット曲があるわけでもないのですが、始まってみれば客席もけっこう埋まっていて、とてもいい感じのコンサートになっていました。

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左はピアノとキーボード、ギターを担当しヴォーカルも披露したキース・コットン [写真提供/COTTON CLUB 撮影/米田泰久]

 ジョーン・オズボーンと言えば、2002年にソウルの曲を多くカヴァーした『How Sweet It Is』を出しましたが、これがすごくよかったんですね。普通はアップ・テンポで歌われる曲を少しテンポを落としてみたり、あるいはバラードで知られる曲をアップ・テンポにしてみたり、編曲をいろいろと変えて歌っていましたが、そこには彼女なりの必然性があったんだろうと、しっくりくる感じのアルバムでした。その後にも、グラディス・ナイトやビル・ウィザーズといったソウルの人たちの曲を彼女なりにカヴァーしたアルバム『Breakfast In Bed』も出していて、それもよかったですね。それほどヒットしたわけではないけれど、とても充実したレコードでした。そしてこの人はやっぱり、あの時代の音楽が本当に好きでやっているなという印象があります。

 もう一つ、印象に残ったライヴが「THE GOLDEN CUPS 50th ANNIVERSARY」です。ゴールデン・カップスが活動していた時期に僕は日本にいませんでしたし、日本に来たときに彼らはもう活動していませんでしたから、これまでほとんど聴いたことはなかったんです。わりと最近になって、『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』という彼らのドキュメンタリー映画を誰かに勧められて観たら、ポール・バターフィールドなんかのブルーズを60年代のあの時代にすでにやっている。「日本にこんなグループがあったのか」とびっくりしました。まぁ、世界的に見れば2~3年遅れではありますけど、日本ではまだそういう音楽が一般的ではなかった時代ですからね。やっている曲もわりと僕の好みだし、もし、僕がこの時期に東京にいたら、このグループのファンになっていただろうなと思いました。

 そんな彼らの50周年記念ライヴは、STORMY MONDAY YOKOHAMAという小さなカフェで3日間行われ、僕が観た日はエディ藩とミッキー吉野の二人だけが出演しました。アクースティック・ギターとキーボードの素朴なライヴでしたが、とても充実した演奏でした。エディはギターはもちろん、歌も上手ですからね。ミッキー吉野は主にエレクトリック・ピアノの音色で静かに演奏していました。曲はカップスのほかブルーズや「A Whiter Shade of Pale(青い影)」といった洋楽のカヴァーもやっていました。カップスはもともと、グループ名の由来となった米軍基地に近い店でGIたちを相手に演奏活動をしていたわけで、だからこそ、当時から洋楽感覚が鋭かったんだと思います。それにしても、こういう小さなお店で音楽を聴くのもいいものですね。

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Featured Artist 知る人ぞ知る、元P.I.Lのメンバーが放つ重低音 Jah Wobble

 ジャー・ウォブルと言うと、知っている人はジョン・ライドンが率いたP.I.L(パブリック・イメージ・リミテッド)のベイシストと連想するけれど、それ以外の人にはほとんど知られていないというミュージシャンでしょう。僕がジャー・ウォブルを意識して聴くようになったのは、インヴェイダーズ・オヴ・ザ・ハート名義の『Take Me to God』(1994年)からです。このアルバムはすごく好きで、当時の僕の年間ベストにも選びました。レゲエ風など曲調はさまざま。クランベリーズのドロレス・オーリオダンやチャカ・ディーマスなどもゲストで参加したこのアルバムは、一風変わったワールド・ミュージック的な雰囲気がありながら、ダンサブルな楽しい音楽でもありました。僕はジャー・ウォブルの重低音がすごく伸びるベイスがとにかく好きなんです。その後、彼は30 Hertz Recordsという自らのレーベルを設けて、ものすごく実験的なものも含めて、いろんな企画のレコードを数多く出すことになります。僕はその中から、雑誌のレヴューを読んで「これなら面白そうだな」と思うものを買ってみたり、「これはちょっと違うかな」と思ったり(笑)、出たものは必ず聴くミュージシャンではないのですが、今回の新作『Everything is No Thing』は、久々にインヴェイダーズ・オヴ・ザ・ハートだし、これは良さそうだなと思って聴いたらナント、70年代風ジャズ・ファンクのレコードだったんです。

 僕にとって、ジャズ・ファンクとフュージョンは違うものです。ジャズ・ファンクと言うと、代表的な作品としてはハービー・ハンコックの『Head Hunters』があります。このアルバムはジャズとファンクが純粋に合わさったタイプの作品だと思いますけれど、発売された1973年当時はまだ、こういうレコードが売れるという方程式はどこにもありませんでした。実験的と言うと語弊があるかもしれないけれど、とにかく新しい試みだったのです。結果としてそれが大ヒットとなって、同じ時期にウェザー・リポートもファンキーなアルバムを出しましたが、こちらもかなりいい評価を得ます。そうこうしているうちにスタッフみたいな人たちも出てくる。そして1976~77年くらいから、もっとオシャレな感じのフュージョンのレコードが多くなってきます。アール・クルーの最初のアルバムあたりはすごく好きでしたが、デイヴ・グルーシンなんかの洒落た路線が主流になってしまうと、ちょっと僕には口当たりが良すぎると感じるような、そんな時代になっていったんですね。

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ジャー・ウォブル

Recommended Albums Jah Wobble & The Invaders of The Heart『Everything is No Thing』懐かしき70年代風ジャズ・ファンクの味わい

 今回のジャー・ウォブルの『Everything is No Thing』は、そういうオシャレ路線の要素ではなくて、僕にとってはとても懐かしい、ほんのつかの間のジャズ・ファンクの味わいが久々に戻ってきた感じなんです。およそ40年ぶりの、とても新鮮な感覚でした。

 録音メンバーを見ると、フェラ・クティの作品でも知られるドラマーのトニー・アレンが参加しています。今年のフジロックにもアーネスト・ラングリンのバックとして出演していましたね。トニー・アレンが参加しているのは2曲だけですが、その曲が始まるとすぐに彼だと分かるほど、本当に特徴のあるドラミングをする人です。それもすごく嬉しかったですね。

 多くの音楽ファンにとってジャー・ウォブルの名はあまりピンとこないかもしれませんが、この新作はとても聴きやすいし、ジャズ・ファンクが好きな人なら文句なく楽しめるはずです。

 それでは、『Everything is No Thing』から「Cosmic Love」、「Freedom Principle」、「Mandala」、そしてタイトル曲の「Everything Is No Thing」を聴いてみましょう。本当に、いまの時代では珍しいというか、オールド・スクールなファンクです。細かい展開を期待するよりも、アルバム全体のグルーヴを感じてもらうのがいいんじゃないでしょうか。「Cosmic Love」も、今日は僕の家のリヴィングでの試聴ということで、それほど大きなスピーカーではないんですけれど、思いのほかいい重低音が響いてきます。

 ちなみに、ジャー・ウォブル(Jah Wobble)の本名はJohn Joseph Wardleというらしいですが、Wobbleとは「千鳥足でよろよろする」という意味とゼリーのようものが「プルプルと揺れる」という意味もあります。そして、Jahとはラスタファリズムの神のことですから、レゲエが好きなのは間違いありません。それにしても、ちょっと自嘲的というか、変な芸名ですね。

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BEAT RECORDS BRC-518

Joan Baez『75th Birthday Celebration』豪華ゲストが参加! 選曲も良好なライヴ・アルバム

 ジョーン・バエズの生誕75周年を記念したライヴ・アルバム『75th Birthday Celebration』が出ました。あまり期待していなかったのですが、聴いてみたらすごくいいアルバムでした。若い頃はとても純度の高いソプラノの歌声を持っていた彼女を、僕が最初に聴いたのは12歳くらいのことです。ちょうどフォーク・ミュージックに興味を持ち始めた時期に、フォークの歌手としていちばん有名だったのがジョーン・バエズで、4曲入りのEPやシングルを買って、「とてもきれいな声だな」と思って聴いていました。でも、特にきれいな声に憧れる少年ではなかった僕は、ほぼ同時にボブ・ディランを聴くようになり、彼のだみ声というか、あの変わった歌い方が好きになったら、ジョーン・バエズのきれいな歌声が古くさく感じるようになってしまったんですよ。とてもいい音楽だとは分かっていながら、イメージがガラリと変わり、彼女には興味を失ってしまいました。それ以降、全く聴いていなかったわけではありませんが、アルバムを真剣にすべて通して聴いたのはとても久しぶりのことです。その歌声は歳とともにちょっと低くなって、僕にはこのほうが聴きやすいと思ったのと、豪華なゲストが次々に出てくるし、選曲もすごくいい。ライヴとしては特に変わった演出があるわけでもなく、素朴にやっているんだけど、聴いていてとても心が満たされる音楽だったわけです。単純に“好き”と言えるアルバムです。

 「There But for Fortune」はフィル・オックスの曲で、これはまさに僕が子供の頃にシングル盤で持っていた曲ですが、いま聴いても歌が上手い。会場はニューヨークのビーコン・シアターで、録音もいいですね。とても丁寧に録っていると思いました。「Catch the Wind」はドノヴァンのデビュー曲ですが、本人によると彼女は妹のミミと一緒によくこの曲を歌っていたそうです。このほか、ウディ・ガスリーやボブ・ディランの曲、トラディショナルやゴスペルなどいろんな曲が入っています。トラディショナル・ソングの「Oh, Freedom / Ain’t Gonna Let Nobody Turn Me Around」の場面では、ゲストのメイヴィス・ステイプルズを「ゴスペル・シンガーであり、活動家でもある」と紹介しています。ジョーン・バエズもかねてから社会活動を続けていましたから、公民権運動の頃からの友達同士というわけですね。この盛り上がりですから、会場にはその時代を覚えている観客も多かったのでしょう。ゲストはほかに、リチャード・トンプソン、ポール・サイモン、ジャクソン・ブラウン、そしてデイヴィッド・クロズビーなどが参加しています。CDは2枚組ですが、とても流れのいいアルバムで、僕は全体を通してとても楽しめました。DVDのほうも早く見なくちゃ!

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Coming Soon まだまだある! 大人の音楽祭 「LIVE MAGIC!」の見どころ聴きどころ 2016年10月22日(土)・23日(日)恵比寿ガーデンプレイス

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 世界のルーツ・ミュージックをお届けする「LIVE MAGIC!」について、今回もお話しさせていただきます。この音楽フェスティヴァルには、前号で触れたサニー・ランドレスや吾妻光良らのほかにもたくさんの素晴らしいミュージシャンが参加しますので、そのいくつかをご紹介したいと思います。

 今年74歳になるジョー・バターンは、1960年代の後半に、ブガルーというジャンルで大当たりした人です。アフリカン・アメリカンとフィリピーノのハーフで、スパニッシュ・ハーレムで育ちました。周りはラティーノばかりだけど彼はそうではなかったわけですね。少年時代はワルだったようで少年院に入りましたが、そこで出会った音楽の先生の影響を強く受けて、退院後は真剣に音楽に取り組むようになります。当時、ラテン音楽はスペイン語で歌われるものだったわけですが、彼はソウルの要素を採り入れて、カーティス・メイフィールドがインプレッションズでヒットさせた「Gypsy Woman」を1967年にカヴァーしました。歌は英語で、リズムはラテンでやってこれが大ヒット。ソウルの曲をラテン・ビートで演奏し、英語で歌うというブガルーの立役者の一人となり、全盛期を迎えます。でも、いろんな理由からブガルーの隆盛は数年で終わり、その後はサルサというまた新しいスタイルが出てきます。ブガルーで売れていたミュージシャンはサルサの登場で多くが姿を消しましたが、ジョー・バターンは“サルソウル”というサルサとソウルを混ぜてディスコっぽくしたような新しい音楽をやり出して、もうしばらく売れ続けました。その後は低迷して、音楽から離れてしまった時期もありましたが、ブガルーを題材にしたドキュメンタリー映画『We Like It Like That』がアメリカで作られて、それをきっかけにして彼にもまたライヴの依頼が殺到するようになったのだそうです。

 つい先日、本人に電話でインタヴューをしましたが、最近もヨーロッパから南米のコロンビア、カリフォルニアでライヴを行い、さらには中国にも行く予定だと言っていました。74歳とは思えないほど元気に、あちこち飛び回って音楽活動をしています。「LIVE MAGIC!」には、コーラスを担当する奥さんとともに来日してくれます。バックを務めるのは日本のミュージシャンたちですが、かなり盛り上がると思いますよ。

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Joe Bataan

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EnTRANS


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高田漣

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Jack Broadbent


 冒頭にゴールデン・カップスのライヴのお話をしましたが、今年はそのミッキー吉野が参加します。僕は今回の「LIVE MAGIC!」には、昔から大好きな楽器の一つであるハモンド・オルガンが入ったグループにぜひ参加してほしいなと思っていたんです。誰にしようかといろいろ探していたら、昔にちょっと面識があったミッキーさんの名前が上がって、「それはいいな」と思って声をかけたらOKをもらえました。ファンキーなオルガン・トリオのような形でお願いしようと思ったのですが、その編成の場合に彼が頼もうと思っていたギタリストの都合が合わなかったので、彼がときどきやっているEnTRANSというグループでやってもらうことになりました。ちょうど10月に出るアルバムのレコーディングをしているところだったのですが、聴いてみるとなかなか面白いんですね。メンバーはミッキー吉野(キーボード)、ヒダノ修一(和太鼓)、鳴瀬喜博(ベイス)、八木のぶお(ハーモニカ)の四人。僕が考えていたトリオのイメージとは違うけれど、面白いステージになると思います。最近は演奏する人が少なくなったハモンド・オルガンですが、あのすごくパワフルなB-3の音を本物のレズリー・スピーカーで聴いてもらえれば、皆さんにとってとてもいい体験になることでしょう。

 スティール・ギターの名手でもある高田漣は、彼のお父さんの高田渡さんが1971年に出した、一般的にはファースト・アルバムとして知られている『ごあいさつ』を丸ごと再現してくれることになりました。「LIVE MAGIC!」のために、彼のほうから提案してくれた企画で、これは願ってもないことだと思いました。晩年の渡さんとはライヴをともにしている漣さんですが、当時の渡さんの音楽はリアルタイムでは体験していないはず。彼のバンドがどんな演奏と歌を聴かせてくれるのか、とても楽しみです。

 もう一人、独特なスライド・ギタリストを紹介させてください。イギリスからやってくるジャック・ブロードベントは、髪も髭も長くて年齢不詳だけれど、おそらく20代だと思います(笑)。ボトルネック・スタイルでブルーズ・ギターを弾いて歌う人です。YouTubeに、彼がアムステルダムの橋の上で弾き語りしている映像があります。ギターを膝に乗せて、ウィスキーを携帯するフラスコをボトルネック代わりにして弦の上を滑らせています。歌を聴いてみればけっこうなしわがれ声で、これまたご機嫌な感じ。このヴィデオを観ただけで、「彼を呼ぼう!」と決めたくらいです(笑)。ブルーズ以外にも、彼が作曲したものでちょっとメッセージ・ソングっぽい曲もあったりしてなかなかいいものを持っているシンガー・ギタリストです。知名度は全然ないけど、「LIVE MAGIC!」のお客さんならきっと喜んでもらえるような、面白いステージになると思います。

 大人の音楽ファンをターゲットとしている「LIVE MAGIC!」は、ヘッドライナーに大物を呼んでお客さんを集めるというやり方はしていませんが、ここに来れば充実した時間を過ごせることは間違いありません。実際に来てくれた人たちは、それを分かってくれています。僕はいま、そうした人たちの輪をどんどん広げていきたいと思っています。A Taste of Musicの読者の皆さんも、ぜひその輪に加わっていただき、お友だちを誘い合って会場にいらしてください。

PB's Sound Impression いま話題のネットワーク・オーディオをリヴィングで体験 「21世紀のジューク・ボックスですね」

 前回と同じくバラカンさんのご自宅を訪問して行われたA Taste of Music。Vol.15では仕事部屋のオーディオをアップ・グレードした様子をお伝えしましたが、今回は素敵なリヴィングに場所を移し、いま話題のネットワーク・オーディオで試聴を行いました。その中心となるのは、ミュージック・サーヴァーの最新モデルとして注目されているaria piccolo。外付けDVDドライヴを使ったCDリッピングなどにより、内蔵する大容量2TBのハードディスクに音楽を好きなだけ溜めていくことができます。しかも、ジャケット画像などはさまざまなデータ・ベースから自動的に取得してくれるという手軽さです。音楽の再生はタブレット端末を使用し、専用アプリiariaによる快適な操作感が楽しめます。

 今回はaria piccoloの音声出力を、バラカンさんがご家族とともにリヴィングで使用しているB&Oの一体型オーディオ・システムBEOSYSTEM 2500の外部入力端子に繋いで再生しました。普段は、膨大なCDコレクションの中から素早くお目当ての1曲を探し出しているバラカンさん。ラジオなどの仕事では、パソコンを介して音楽ファイルを扱うこともあるそうですが、ネットワーク・オーディオという新しい音楽スタイルは、バラカンさんにとってどんな体験となったのでしょうか。

「音楽は環境によっていろいろな聴き方があります。僕は仕事部屋では、選曲を意識しながら聴くことがほとんどです。ソースとして多いのはやっぱりCDで、タイムを計りながら次々と再生していますから、残念ながらゆったりと聴くという環境ではありません(笑)。ここリヴィング・ルームでは仕事を離れて、女房と二人、あるいは訪ねてきた友達と食事をしながら好きな音楽を聴いています。そんなとき、これまではCDをいくつか選んでかけていましたが、このaria piccoloなら、会話の流れで、“そういえばこんな曲があってね”と、お勧めの曲をタブレットで簡単に探して聴いてもらうこともできて楽しそうです。まぁ、そのためにはCDをどんどん取り込まなければなりませんが(笑)、これはもう、21世紀のジューク・ボックスと言えるでしょう。また、ミュージシャンに関する情報やアルバムの参加メンバーなんかを調べようと思えば、タブレットをネットに繋いですぐに検索できるのも便利ですね」

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最新のミュージック・サーヴァーaria piccolo。コンパクトな筐体に、最高で32bit/384KHz(PCM)、11.2MHz(DSD)のハイレゾにも対応する高性能なDAコンバーターを備えている

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バラカンさん宅のリヴィングに設置されていたオシャレなオーディオ・システムは、1990年代前半に発売されたB&O BEOSYSTEM 2500(上)

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アーティストやアルバムはもちろん、ジャンルや年代、楽器別でも曲を検索できるiaria app(画像はサンプル)。「トップ100」や「最近再生した曲」などのプレイリストも自動的に生成される

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CDリッピングを行うバラカンさん。アルバム1枚なら約5分程度で完了する。外付けHDDやNASから、ハイレゾを含む音楽ライブラリーを取り込むことも可能

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タブレットの操作にもすぐに慣れたご様子

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◎試聴システム

ミュージック・サーヴァー:aria piccolo
一体型オーディオ・システム:B&O BEOSYSTEM 2500(アンプとスピーカー部のみ使用)